中田英寿と格好良さへのこだわり・・・

 だれでも格好良くありたいと思うが、中田英寿の格好良さへのこだわりは他を圧倒していたと思う。新聞やテレビの取材は受けないが、メッセージはnakata.netから発信していたし、本も出版していた。コマーシャルにも出ていたから、基本的に目立つことは好きだったのだろう。海外から成田に降り立つときのファッションが注目されていることを知っていたし、実際にワイドショーのリポーターをそれを意識してさまざまな姿で飛行機から降りてきた。が、彼らには口をきかない。

 目立ちたがりだが、計算尽くしの、悪く言えば計算高いやり方で、わたしは彼のそんなスタイルが好きではなかった。もうちょっとゆとりというか、隙を感じさせる方が好きだ。もっとも日本の「ジャーナリスト」やリポーターのレベルは低いから、彼らを敬遠したい気持ち、ざっくばらんに話したくない気持ちは理解できる・・・。

 中田の格好良さへのこだわりはファッションだけではなかった。イタリア語や英語を通訳なしで話すことにもこだわりは見られた。イタリア語や英語を話すことによって、現地のサポーターや記者の心をつかむこともできるし、何よりも格好いい。おまけに彼は言語取得の苦労を表面上は見せなかった。一生懸命がんばっています、というメッセージを発信することを嫌ったように思う。もっともイタリア語や英語を通訳なしで話すというのは、日本人以外のプレーヤーに取っては当たり前で、中田にしてみれば国際標準に従っただけということにもなるのだろうが、しかし、それがプラスになることは計算していたし、日本人のサポーターから尊敬とあこがれのまなざしで見られることも計算していた。

 中田の計算高さが私は好きではないが、しかし、言語を取得することは容易ではない。サッカーだけでなく、ファッションだけでなく、イタリア語や英語をマスターし、話すことに格好良さを見いだし、それを実践していたのは見事だと思う。こんな選手は中田の前にはいなかったし、中田の後にも出てこないだろう・・・。


 で、ここからは学生諸君へのお説教になるのだが、中田英寿を見習って、君たちもファッションだけでなく、能力的にも格好良く決めてみないか?いや、別にイタリア語をマスターする必要はないし、英語が流暢に話せなくてもいい。せめて、君が履修している科目で教員を驚かせるほど勉強してみないか?勉強の成果を披露できる前期の試験も近づいていることだし!