雑種路線でいこう

ぼちぼち再開しようか

ロビー活動じゃ勝てない!

ネットで薬を売れなくなる件は気にしているが、本業と直接には関係ないので動けていない。というか難しいんじゃないかな。もともと医療・製薬業界って薬や治療法の許認可だけでなく保健医療の医療費・薬価を国が決めているから政策の裁量が非常に大きく、ITと比べてずっと政治家との関係構築の費用対効果が高そうだ。報道されている政治献金だって医療業界全体で政治資金収支報告書で公表されているだけで14億超、うち薬局・薬店を束ねる日本保険薬局政治連盟が2510万、そのうち政治家への寄付などが1395万ほどある。これら全て厚生族の先生方に集中投下されているのだろうか。

マツキヨには薬剤師がいてきちんと説明をして売っているから、誤飲やら薬害被害はありえない、って建前なわけね。建前だろ。どう考えても。そんな説明、薬局ですら受けたことねーよ。厚生労働省が自分達のリスクヘッジをしているだけだろ。ネット販売が無くなって困る人のことはどうでもいいわけだ。
なんて言ったところで、ネット業界は政治献金もほとんどしてねーだろうし、ネット業界の利益を代弁してくれる議員もほとんどいないだろうね。選挙にも行かないしね。だから、こういう理不尽な規制を受けてしまうのさ。結局は政治に関わらざるを得ないってことだ。

ITは事案によって諸々の委員会が何らかのかたちで関わるし、それぞれITに理解のある先生もいらっしゃるけれども、医薬品業界の渉外は厚生労働委員会だけに集中できるから、立ち向かおうにも資金規模・専門知識・人脈の深さ全ての面で歯が立たないのではないか。
さらに薬局・薬店は薬剤師はじめ専門家に対して膨大な雇用を生んでいる。ネット規制のときも第三者機関とか各社の監視要員でDeNAだけで数百人、恐らく千人単位の雇用は産まれたんだろうけど、24万人近くいる薬剤師のうちネット業界の味方になってくれそうな人どれくらい?って話はある。同じ政治案件でも、規制派が組織的に動けていなかったネット規制と比べて地合いが悪過ぎる。
という訳で薬事法施行令の規制強化で困っているネット事業者は薬局・薬店と比べてロビー活動が足りなかったにしても、これは最初から無理筋だったんじゃないかな。情勢としては小手先のロビー活動で大勢を覆すことは難しく、ここは粘り腰で折り目正しく、事あるごとに民主主義の手続きを踏んで、説得力のある主張を繰り返すしかない。
説得力のある議論で利害関係者や理解者を増やし、世論を味方につけるためにも、ここは地道な活動を続ける必要がある。ネットで薬を買えなかったことが具体的な消費者の不利益に繋がった事例を丹念に拾い上げる。店頭かそれ以上に安全なネット販売のための仕組みを考え、業界一丸となって事態の打開へ向けた建設的な提案を組み立てる。まず山間僻地や離島といった薬局・薬店から見放された地域で例外を勝ち取り、実績を積み上げてはどうか。短期的には厳しい情勢にあるが、遠からず安全性を担保する上で合理的なところまで薬事法施行令を押し戻すことは、決して難しくないのではないか。